大陸系のオモチャマフィアから流れてきた品らしいが、なかなかどうして。
レゴ互換の製品としては精度も極めて高い……
かくして、正しくブロック系統のトイレビューをする事に決めたのだった。
「アタッシュケースから出てきたそれは」
「明確に海外の品の匂いがあった」
「中身も大体本家レゴと似たような状態だ」
中身を検分すると、包装はもとより組み立て説明書もレゴそっくり……いや、本家よりも分かりやすい部分もある。
「一時間くらいかけてバイヤーの前で組み立てる」
ブロックの大半はレゴとほぼ同じ形だ……いいのか? これ?
等と思うが、それは模型やオモチャのレビューを時折やっているだけの俺が口を出す領分ではない。
俺とバイヤーは一瞬目を合わせ、かすかに笑いながらオモチャに視線を戻した。
「背後のディテールにも気を使っているらしい」
ところで「ケイジ」っていうのは「オール・ユー・ニード・イズ・キル」の主役の事か。
外からは分からないが、説明書にそう記載があった。
確かに、ツッコミどころはあるが漫画版のデザインっぽい気がする。
「バイヤーはそっと横にHGのガンプラを置いた」
ふむ、レゴはパーツ数のわりにでかくなる事が多いが、マイビルドは大体このサイズ感でいくようだ。
パッケージ、パーツ数、完成後全てにおいてコンパクトな出来だ。
「肩は引き出し関節がある」
こういった趣味の性か、俺はたちまち可動確認のためにガチャガチャと弄りだしてしまった。
「腕、膝共に二重関節」
「その他は基本的にボールジョイント」
「設置性も十分なシロモノだ」
「なる程、首は評価が分かれるな」
首は……説明しにくいが、レゴのおけるプロペラとかと似たような状況で、外れはしないが保持力ゼロでクルクルと回る。
俺は構造には不満を感じたが、弄っていると不思議とあまり動かず、気にならない。
「いよいよ搭乗口を開く」
原作ではコレはパワードスーツなので、こういった形で乗り込む訳ではないが、ミニフィグを乗せる事ができる。
もっとも、肝心のミニフィグは含まれていない。
「まぁ誰でも一体くらいは持っているものだ」
模型関係のレビューなどというケチな趣味を持っている俺だ、当然ポケットにミニフィグの一つくらい常に忍ばせている。
早速セットすると、ゆっくりと各部を閉じる。
(あ、これヘルメットとか付いてるとギリ閉まらないやつだ)
「パタン」「ヴォン」
何が変わる訳じゃないがコレが結構重要なんだよな、という顔で俺とバイヤーはニヤッとする。
「今度は遊ぶ意味でガチャガチャ弄りだす」
主人公は大剣だったかな?……昔読んだ「オール・ユー・ニード・イズ・キル」の記憶を探しながら、機体を動かす。
「程よく気の抜けたデフォルメ具合で、飽きがこない」
「原作通りかはさておき、身の丈ほどの武器は迫力十分だ」
レゴロボと言うジャンルがある。
その名の通り、レゴブロックで可動・非可動のロボを制作するジャンルで、憧れるやつも多い、俺も……まぁ昔の話だ。
だが素人には敷居が高いものでもある。
「レゴロボというジャンルから見れば、マイビルドは面白い品だ」
まずレゴブロックで可動関節を作る為に知識が必要で、いずれも細かいブロックだ。
どのサイズであろうが、装甲を再現するタイルブロックも様々な種類が必要だ。
そして、そのどちらも数が大量に必要……大体がここまで調べて挫折する。
「レゴでも似たようなコンセプトのセットが無いわけではないが……」
独立したフレームに外装を取り付けていくシリーズはレゴにも存在するが、サイズが異様に大きかったり、そもそも外装がブロックの体を成していなかったりと、コレジャナイ感があるのだ。
「一方マイビルドは、そういった需要をシンプルに満たしている」
マイビルドは小さめのフレームに外装ブロックを取り付けていく「だけ」という設計思想だが、それが堅牢性にもつながり、欲しかったレゴロボモドキが完成する。
「そう、俺はこういうレゴ製品が欲しかったのだ」
遠い昔(俺の場合は、だが)レゴロボに挑戦し挫折した人にこそ、待ち望まれていたのがこのマイビルドのコンセプトだろう。
「バイヤーが、どうだという顔で俺を見る」
「俺のジャケットは青く塗ろう」
それから、バイヤーとは会っていない。
だが、俺の机の片隅には今、この青い機体がある。
マイビルド (MyBuild) ブロックメカフレーム SFシリーズ ケイジ 専用機 レビュー 待たれていたレゴ互換ロボ 了