設定は昔からあるものの、キット化されていなかったジム・インターセプトカスタムが遂に登場。
バリエーションキットでこそありますが「ジム」のガンプラの未来を占う重要な試金石をレビューします
「クリーム、ベージュといった宇宙空間では珍しい色合いのランナー」
「そしてライトパープルなガンプラ全体でも珍しいランナー」
「(また)組み立てた後に気付いたが、ブラックは二色ある……」
「デカールが付属、シールはごく僅か。ポリキャップも使う」
「ジムインターセプトカスタム、大地に立つ(宇宙戦闘特化の機体)」
とても組み立てやすい!
と驚くこと間違いなしの組み立て感覚です。
ジムガードカスタムのバリエーションキットなので、その点は大幅には変わらない感じですが、何度作ってもこの感動は揺るがないでしょう。
小一時間で完成します。
「背後は普通のジムっぽいが、脚部バーニアがエース感を演出」
それで「ジムインターセプトカスタムって何よ?」と普通なりますよね。
時は一年戦争末期、少し前に作ったジムスナイパーカスタムの性能の高さに着目した地球連邦上層部は「コレに艦隊防御とかやらせよう」と考え、作ってみたのがジムインターセプトカスタム。
パッケージに映っている同僚、ジムガードカスタムと開発経緯が被っているが、インターセプトカスタムは高い運動性を活かした機動防御を主としている。
「シンプルな内容物、美しさを感じる」
説明書でも言及されるフェロウブースターと合わせての運用を「前提」としているが、今のところそのブースターのガンプラ化予定はない、何故だ。
面倒な設定を取っ払って一言にまとめるなら、運動性を高めたジムである。
なおシールドを標準装備しない上、軽量化されているため防御力は普通より下がっている。
「出撃、ジムインターセプトカスタム」
内容がシンプルな分、可動やディテールが優秀なジムインターセプトカスタム。
装備もビームスプレーガンとビームサーベルのみという潔さです。
ガードカスタムというか、「オリジン版ジム」ランナーを使用しているため、腕の接続ジョイントがそのままですね。
「唯一のギミック、バイザーオン。カチャッとなるので楽しい」
ビルドダイバーズのガンプラ等では変形や武装の合体など多彩なギミックが目立っていますが、このインターセプトカスタムはバイザーの上げ下げのみです。
出典がMSV-Rなので、Zガンダム時代のリアルロボットを貴ぶ風潮を感じることができます。
だから良い悪いという事ではなく、ジムインターセプトカスタムはそういった時代に設定されたモビルスーツな訳ですね。
……名前自体は更に昔からあったりしますが。
「ガンダム先輩と。カテゴリーの違いが明確に分かる」
ところでフワフワとした新カテゴリーであるMSD(Mobile Suit Discovery)、コレは古のガンダムファンだけに向けられたものではありません。
MSDはガンダム漫画の本命である「THE ORIGIN」におけるMSVにあたります。
要は、本編中には出てこなかったり目立たなかったりする機体に、明確に設定を作り、ガンプラやゲームなどに登場する、というもの。
「ビームサーベル展開。ビーム刃は長め」
ディスカバリー、発見という名が示す通り、新たなる設定を再発見していくのが今までのガンダムの外伝と根本的に異なる部分です。
今までは既存の設定を更に積み上げていくやり方でしたが、MSDでは以前の設定と矛盾があっても新説として新たに「発見」してしまいます。
最近THE ORIGIN読んだ・見たよ、というファンにも問題なく理解して受け入れられる上手い企画です。
「足裏の肉抜きは無し。ちょっとハイエンドなガンプラでもある」
ですが通常のガンダムアニメラインのガンプラとは少々毛色が違うのも事実です。
地上波で放送している作品のガンプラは手に取ってもらいやすいように価格を下げるため、コストカットを意識した作りです。
一方、このMSDやTHE ORIGINシリーズのガンプラはある程度の固定層を意識してか、少し値段を高めても完成度を重視している作りになっています。
「全身の細かいディテールはORIGIN系列の特徴」
ORIGINシリーズのガンプラはそのいずれもがハイディテール版とも言える造形で、特にザクⅡなどは工業芸術の域に達しているのではと思える出来です。
価格がとてつもなく違う訳ではありませんが、ジムインターセプトカスタムもまたその華麗なるガンプラ一族の一作と言えます。
「ややこしい話は少しおいておき、このキットのスゴイ点を紹介!」
さて、細かい話が長くなったのでちょっと気分を変えてジムインターセプトカスタムそのものを見ていきます。
ガードカスタムと基本的には同じですが、このジムランナーを使用したガンプラのスゴイ点はやはり可動範囲です。
「腰可動もスゴイ。ガンプラで一番腰が動くガンプラである」
腰が大きく前にせり出すのでヒーロー着地も普通に可能。
この構造はプレミアムバンダイ限定のヘビーガンダムで採用されたのが最初ですが、こうして一般ガンプラでも拝むことが出来るようになって何よりです。
「接地性も抜群」
地面に足がピッタリと密着します。
足が浮いていると途端に大型兵器ではなくオモチャっぽい感じになってしまうので、実は結構重要な部分です。
「肩関節に注目」
肩関節もポリキャップを活用して前に引き出せますが、更に縦方向にも引き出せるようになっています。
ジムインターセプトカスタムはやりませんが、ラストシューティングのポーズとかをより自然にとれるようになっています。
「これだけ可動しながら塗装派にも配慮を見せる」
可動と造形を信じがたいレベルで両立していますが、更にポリキャップの露出も減少しています。
肩関節の奥や足首など、覗きこまなければ見えず、塗装派にも安心の作りです。
「とても可動するので写真を撮るのが楽しい……!」
あまりにも可動し、どこから見ても破綻のない造形なので暫く遊んでしまい写真が撮れませんでした(自分のせい)。
装備が少ないのも付属品を紛失しにくいという利点に繋がっており、シンプルなガンプラの極地という独自のポジションへジムインターセプトカスタムを導いています。
「個人的にはこのガンプラなら何時間でもいじれる」
塗装派や工作の注意として、ビームスプレーガンは左右のモナカ割りで、顔のバイザー奥のカメラ部分ははめ殺しになっています。
合わせ目はほぼ段落ちモールド処理されており、頭部と胴体の一部以外には発生しません。
「インターセプトとは、横取り・妨害・傍受……」
この機体的には恐らく「迎撃」というのが正しいと思いますが、素早い立ち回りが可能という設定なので、忍者的なポーズも似合います。
キット内容はシンプルですが、設定やポージングの自由度などではまだまだ深堀が可能な一体です。
「迎撃せよ」
THE ORIGIN・MSDシリーズらしく、可動とディテールをハイレベルでまとめたジムインターセプトカスタム。
元々がかなりシブい設定の機体ではありますが、組み立てても遊んでも手に馴染むスムーズな一作でした。
一年戦争の真っ只中という機体でもあるので連邦古参兵の皆さんは作ってみましょう。
もちろん、新兵にもオススメなガンプラに仕上がっています。
以上「HG ジム・インターセプトカスタム レビュー と MSDを迎撃する目前の俯瞰」でした。
意図的なものですが、MSDの漫画は本家の安彦良和の作画に激似!