試作品を見ただけで出来が良いことが分かるクロスシルエットのゼータガンダムをレビューします。
シリーズとしても慣れてきており、あらゆる意味で高品質なガンプラとなりました。
「ゼータと言えば黄色のラインが厄介だが……え? 黄色のパーツそれだけ?」
「そして腕の赤い部分も、色分けを考えれば大変な部分だ」
「タッチゲートと通常ゲートの混成。教えてくれ、何故だバンダイ……」
「背中のフライングアーマーの赤い部分はシールで再現」
「とりあえず見よ! この完璧なプロポーションを!」
Zガンダムは有名な機体ですが、赤子にでも分かるように以下に一口メモを……
Zガンダムはグリプス戦役から第一次ネオジオン戦争に参加した可変MSである。
斬新なアイデアと汎用性を高い次元で兼ね備えた超高性能機であり、パイロットも何だか特殊だったので色々と奇跡的な出来事も起こした伝説のガンダムの一機。
大変活躍したのだが、それよりも可変機構のせいで胸の辺りがどう考えても空洞なっており、その点が心配で見ている側はZガンダムの放送が終わっても未だに落ち着かない。
「フライングアーマーのウイングは普段は展開してないよな……?」
ゼータガンダムはパイロットも有名。
カミーユ・ビダンは情緒不安定なガンダム主人公の中でも更に一回り以上精神が安定していない。
周囲にマトモな大人が(最後まで)いなかったせいもあるが、身勝手な激情家だが優しくない訳ではないという極めて複雑な人物像を持つ。
後半は覚醒したニュータイプ能力で機体に搭載されていないはずのIフィールドを展開したり、ビームサーベルを巨大化したりと、まぁ最強のニュータイプだった。
「一口メモが長くて何が悪い!」
お待たせしました、ようやくキットの話です。
相変わらず組み立てやすく、15分ほどで完成します。
キットにはBBフレームしか付属していないので、クロスシルエットフレームは別途用意しましょう。
「ええい、BBフレームでは可動はこんなものか……!」
武装はビームライフルとビームサーベル、シールドが付属しています。
ウェイブライダーへの変形はオミットされています。
……え? BB戦士の頃は変形しただろって?
……確かにな、だが変形できたらこの完璧なプロポーションは維持できんぞ?
「無視されそうで無視されない、それが腕部グレネードランチャー」
あまりにも完成されたバランスの体型ですが、BBフレームなので可動範囲は狭くなっています。
インタビューによれば、BBフレームは簡単に組み立てられることに重点が置かれているようなので最初からあまり可動は意識されていないようです。
物足りない人の為に、クロスシルエットフレームを用意したということでしょうか。
「とはいえ、BBフレームも飾るには十分」
やはり可動範囲は現代ガンプラの注目ポイントの一つなので、当然のごとく用意していたクロスシルエットフレームに換装します。
推奨フレームは白らしいので、白いクロスシルエットフレームに組み付けています。
「ここからはクロスシルエットフレーム!」
これまではクロスシルエットフレームに組み替えると、股関節を中心に違和感がありました。
Zガンダムは腰の装甲が大きいのもありますが、装甲パーツそのものの取り付け位置が下がっており、自然に見えるように工夫されています。
これまでは一体形成だった腰パーツが分割された当然の帰結として、見栄えが良くなっています。
「宇宙空間での戦闘が主だったZガンダムは、膝可動で表情付けの幅が広がる」
Zガンダムのデザインは宇宙世紀のガンダムのデザインの中でも特殊な位置にあり、ミリタリー感と流麗な輪郭を併せ持っています。
体全体で「A」のシルエットを持つのは、どちらかと言えばジオン系機体(敵)に多いのですが、Zガンダムは流線形ではなく直線的であることによって、連邦系(味方)であることをアピールしています。
「カメラアイは瞳ありと無しで差し替えて交換することができる」
あまりガンダムらしくない顔、横ではなく縦に伸びる肩、踝に頂点がくる足、どこを切り取っても主人公機には見えないのに、全部合わせると間違いなく主役ガンダムになる。
ガンダムとして唯一無二の個性を持つシルエットで、ミリタリー感とヒーロー感を無駄なく磨き上げたそのデザインには不思議な魅力と魔力があり、Zガンダム自体が重力を持つようにファンが多い……
「このキットで感心すべきは色分けの取捨選択にある」
フライングアーマーは仕方ないとして、その他大まかな色分けは再現されて……いない?
いや、大方は再現されています。
ですが細かい部分はよく見ると色が足りていません。
にも拘わらず、ぱっと見はほぼ再現されているように錯覚してしまう、巧妙な分割です。
「強くても……!」
ロボットで視線が行くのはまず胸部、次に顔です。
クロスシルエットシリーズでは胸と顔をこれでもかと色分けし、余力で目立つ部分……Zガンダムで言うならば正面から見える腕の赤とグレーを色分けし、その他の肩や足の黄色や青のラインは大胆に切り捨てています。
しかし違和感を感じることは少ない。
何故ならそれは、視線は顔から胸部にかけてに向かうから。
「一本調子では!(前に乗っていた機体のやつ)」
Zガンダムのような複雑な配色の機体をどう処理するのか気になっていたのですが、限られた枠の中で最適解を実現してきたと感じます。
その他パーツ分けも組み立てに支障がない範囲で細かくなっており、この短期間で爆発的な進化を見せています。
「俺の体を皆に貸すぞ!」
BBフレームとクロスシルエットフレーム、好みの問題ではありますが、可動範囲が広いと劇中のポーズは再現しやすくなりますね。
ZガンダムのSD体型での立体物だと、劇中再現は中々難しいものがあったので、そういう意味でもクロスシルエットZガンダムは多くの人が待っていたキットであると思います。
「お前に逢いたいよと」
あの神OPごっこもバシッと決まるクロスシルエットZガンダム。
Zガンダムが好きならば必見の内容ですが、そういう方は既に入手していると思うので「あまりZガンダムとか知らない」という人に手に取ってもらえればSDファンとしては恐悦至極。
クロスシルエットZガンダムはお部屋のエモいインテリアとしても活躍を約束します。
以上「SDガンダム クロスシルエット ゼータガンダム レビュー と 成長するクロスシルエット」でした。
Zが出たから百式も欲しいな、と当然考えた我々の前に姿を現したのは黄金と、そしてお台場の名を持つガンダムだった……次回「新しいクロスシルエット」君は、刻の涙を見る……?