数年前、SDガンダム界隈は三国伝も終了して暫く経っていました。
時折発売されるレジェンドBBが話題になりますが、新キットが数カ月に一度なので少々の寂しさもありました。
そこに、日本版のエクスタンダードの発売が決定したのです。
「この白さ、今は宇宙世紀……じゃなくて西暦何年だ?」
「色々と真っ青だが、塗ればどうと言う事はない」
「急に現れる集光樹脂が異彩を放つ」
「噂によれば、全身に走るサイコフレームを再現するのはシールに任せるらしい」
「今回は全塗装でお送りします。あとちょっと汚しを入れ過ぎました、あしからず」
ランナーを見れば分かる通り、さすがに色が足りないので筆で全塗装してみました。
塗料はアーミーペインターとシタデルカラーです、要は水性塗料です。
エクスタンダードの第1シーズンより、ユニコーンガンダムです。
ユニコーンガンダムは露出も多いので、ガンダムを知らない人でも見た事があったりするのではないでしょうか。
この機体はお台場に勤務しておりますので、お近くの方はぜひ。
「実は各部のディティールは細かく刻まれている」
当時まったり運行だったSDガンダム界隈に、突如隣国の情報が舞い込みました。
何やらSDガンダムの新シリーズらしい。
名前はエクスタンダード。
どうやら大陸限定発売とのこと。
ランナーの写真は流れていたので内容は分かっていたのですが、SDガンダムの新シリーズが発売されるのは羨ましいな、という感じでした。
一方で、でも何か食玩みたいなプラモだな、という意見もあり、私もどちらかと言えばそう思っていました。
「全塗装なんか冗談じゃな……いや、コレはさすがに塗る」
それから更に暫くして、すっかりエクスタンダードの存在を忘れたころ、日本でも展開するとの報が。
そう言えば、というタイミングだったので、あまり話題にもなりませんでした。
というか当時は鉄血のオルフェンズが好調でそれどころではなかったのです。
「初回変身って見せ場なのに無言でカチャカチャ変形するの面白いですよね」
さて、いよいよキットの中身です。
ランナーをご覧の通り塗るかシールを貼るかしなければ色分け的には10年以上前のレベルです。
しかし、サイズや可動の面はレジェンドBBと同水準です。
ポリキャップはレジェンドBB用に開発されたものをそのまま採用しているので、売り文句通り優秀な可動範囲を有しています。
「エクスタンダード、ユニコーンガンダム、行きます!」
設計としては無駄を極限までそぎ落としています。
エクスタンダードの各キットは、キャラクターを表すアイコンとして必要のないものは付属していないのです。
例えばこのユニコーンは、ビームサーベル等も付属していません。
「ユニコーンだけは、クリアパーツがある!」
組み立ては簡単で、色が不足をしていることを除けば足の肉抜きくらいしか造型的な問題はありません。
各部はかなりしっかりとモールドが彫られているので塗装すると見違えるように良くなります。
シリーズ全体で見ると気になるのは、機体ごとに頭身が違うこと。
ウイングゼロとかはかなり足長です。
「あなたを止めてみせる!」
三国伝を経てレジェンドBBで更にサイズアップしてきたSDガンダム。
その水準で見れば、今サイズを落とすのは避けたいところです。
そこで、色分けを犠牲にして安価に、可動範囲を広くする方向を選んだのでしょう。
「オルフェンズ? 鈍器が無くちゃ戦えないガンダムと一緒にするな!」
一定のフォーマットで、多くのガンダムをキット化したい。
エクスタンダードには、スタンダードという名前の通り、新しい標準を目指す意図が感じられます。
シリーズは第2弾で止まってしまっていますが、この何かを模索している状態というのはファンとしては安心できる状態です。
結局止まっているのが一番コワイのです。
クロスシルエットという新シリーズが発表された今日この頃、これからSDガンダムがどのような方向に向かうのかは分かりません。
フレームにパーツを付けていく方式が主流になるのか、又はエクスタンダードのようなシンプルな設計に戻っていくのか。
「二機のガンダムに揃って楯突かれる方の身にもなってみろ!」
ここまででエクスタンダードがイマイチかと思ったならば、むしろ一回作ってみて下さい。
極限まで無駄を減らしたこのシリーズは全塗装でも一日かかりません。
筆塗りならばもっと短くなるでしょう。
「プラモを組み立て・塗装プランを考え・実行する」という原始の楽しみがこの一箱に圧縮されて詰まっています。
失敗してもとても安価なシリーズです、こういう時こそ思い切りよくいきましょう。
休日にお手軽に、しかし満足いくプラモデルが欲しいならばエクスタンダードです。
以上「SDEXスタンダード005 ユニコーンガンダム レビュー と エクスタンダードが目指した新標準」でした。