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ゼノブレイド2本編もですが、DLC黄金の国イーラがとても良い出来だったのでレビューしたいと思います。
まず前提を軽く説明します。
「ゼノブレイド2 黄金の国イーラ」はニンテンドーswitch用ソフト「ゼノブレイド2」のダウンロードコンテンツに当たります。
しかし単体でもゲームとして成立しているためか、黄金の国イーラのみのパッケージ版も用意したようです。
込み入った設定が特別に多い本作ですが、可能な限り説明しながら続けますね。
「本編をプレイした人にはお馴染みの感覚」
舞台はゼノブレイド2本編の500年前……
強力な力を持つ存在「天の聖杯」をめぐる動乱、聖杯大戦の顛末を描くもの。
「主人公は傭兵であるラウラ」
本編中でも回想に登場していたラウラは、傭兵としてこの大戦に参加する事になります。
ゼノブレイド2本編をプレイしたならば、彼女がどういった結末を迎えたかをプレイヤーは知っています。
彼女がどうこの時代を生きたのか、が物語の大きな柱となっています。
「当然、本編中に語られた大戦の英雄の姿も」
本編中では姿の分からなかったキャラクターも、新規にデザインが起こされていますね。
一方でブレイドと呼ばれる種族は500年後と同じ姿で現れます(込み入っているがそういう設定)。
「今回もキーキャラクターとなる二人」
ゼノブレイド2で重要な役割を果たす男性ブレイド、シン。
黄金の国イーラでは彼がもう一人の主人公となり、その内面が大幅に掘り下げられます。
シンの内面にスポットが当てられたことで、本編での行動の意味が真逆になったりすることもあります。
「本編と同一ブレイドや、似た人が登場」
また、サブキャラクターでも過去にどのような人物と一緒にいたのか、どのような関係だったのかが描かれています。
この辺りは本編中のムービーに繋がる形で展開され、プレイヤーに以前プレイした「未来」の出来事を回想させる演出となっています。
「主人公ではないが、ほぼ主人公の役割をはたすアデル王子」
個人的に関心した部分で、戦闘方法の歴史に言及するという点があります。
ゼノブレイド2では当たり前になっているドライバー(人間)とブレイドが武器を受け渡しで戦うという戦闘スタイル。
これが500年前では成立していません。
「才覚あるアデルはこの新しい戦闘方法に興味を示す」
「この戦闘方法だとより人間とブレイドの力が発揮できるらしい」
「小声……」
「いやそんな理由かよ」
戦闘方そのものの発祥は気が抜けていますが、ゲームとしての戦闘システムの変容を、設定と合わせて説得力を持たせるというのは珍しく、ゲーム中の理由付けとして違和感なく溶け込んでいます。
「マップでも戦闘でも、好きなキャラを操作できるようになった」
さて、ここから先はゲーム部分の変化を見ていきます。
黄金の国イーラで本編で分かりにくかった部分や遊びにくい部分をほぼ全て修正して、ほとんど別物と言える進化を遂げています。
「ブレイドを直接操作する事も可能になっている」
前衛と後衛でタッグを組み、更にそれを交代しながら戦うというシステムで、操作可能な全てのキャラクターに技が用意されています。
「次々キャラクターが入れ替わり技を放つため、画面が賑やかになった」
入れ替わったキャラクターはすぐに技を使用できるので、技を使うとゲージが溜まる必殺技の回転率も高くなっています。
地味ですが、何より嬉しいのはコンボが繋がりやすくなっている点。
相手をダウンさせ、打ち上げ、打ち落とす、という一連の(ドライバー)コンボが本編とは比較ならない程成功するようになっています。
「次々とキャラクターを入れ替えろ!」
前衛と後衛だけでなく、一人の人間に対して二人のブレイドというチーム構成なので、ブレイドからブレイドに交代することができます。
本編中ではブレイドスイッチというシステムでしたが、500年前でもそれは変わらず。
技は使用できますが、ブレイドスイッチではHPが回復しないので、折を見て人間と交代することが求められます。
「そして自分以外のチームも次々とキャラクターを入れ替えていく」
操作できるのは自分の選んだチームだけですが、他のチームも勝手にキャラクターを入れ替えていくので戦場では色々な声が飛び交います。
「あのキャラに交代しているなら、自分はそろそろ回復技か……」等々、リアルタイムに状況を判断し優位な状況を作り出していきましょう。
本編中では思ったより柔軟に行動することが難しかったのですが、この辺は明らかに改良点と言えます。
「演出は本編同様派手なものばかり。白夜!」
ゼノブレイド2本編は後半戦は戦闘が大変だったりしましたが、黄金の国イーラでは最後まで飽きることなく自分なりの戦闘を探求することができました。
「一言でまとめると、爽快感のある戦闘システムへと昇華!」
勿論本編のように「パーティー全体で多くのブレイドを入れ替えて進む」といったことはできませんが、それがあまり大きな問題とは感じない、うまく調整された戦闘システムだと言えます。
「新システムも実装」
新しく実装されたキャンプでは様々なアイテムを作成したり、休んでボーナスEXPを使ってレベルアップすることができます。
アイテムを作るクラフトは、一定時間能力を上昇させるポーチアイテムが大半。
また、パーティーに恒常的効果をもたらすアイテムを作成する事も出来ます。
本編よりも少なくなったキャラクターの個性を前面に出すという意味で、効率的な手法ですね。
「クエストも普通に存在する」
本編同様、各地でクエストを受けることができます。
中身はまぁ……本編と大きな差はありません。
「例によって足跡を追うやつ」
500年前という設定を活用し、何という事のないクエストに登場した人物の名前が未来に伝わっていたりします。
「クエストをクリアしたりすると」
「ヒトノワレベルが上昇していく」
新システムであるヒトノワレベルは上げたからといって利益がある訳ではありません。
というか、ストーリー進行の為強制的に進めなくてはならなくなっています。
人助けをするラウラがどのような人物であったのかを描くと同時、人々がどのような考えで生きていたのかを演出するためのものと言えます。
とは言え強制的なのは少々面倒と感じる部分もあったりしますね。
「個人的に超嬉しかったのがコチラ」
「まぁ完全ではないが……何だその技?(通常技ではなく必殺技)」
キズナリングで「〇〇を倒せ」というのが本編でした。
どこに何がいるのか全く分からない……
という状態だった私は「〇〇にいる〇〇を倒せ」と表示してもらう事によってようやくキズナリングを成長させることができるようになりました。
RPG史上で見ても「名前が分かりにくい敵」が多いゼノブレイド2なので、これは本当に嬉しかった……
キズナリング自体が面倒だという話はさておきですが。
「このゲームの最大の注目ポイントは、実は表情では?」
再びゲームの部分の外の話題へ。
お気付きと思いますが、このゲームはキャラクターのモデリングの出来がとてもよく、黄金の国イーラではより進化しました。
「アニメ調でありながら、3Dとしても違和感がない」
ゼノブレイド2の時点で違和感というものはなかったのですが、更に自然に見えるようになりました。
女性キャラクターに顕著ですが、顔などが柔らかそうに見え、表情を変えてもその印象が崩れません。
「装飾品との対比も相まって、アニメ調グラフィックでは最高位の完成度」
ゼノブレイド2本編では、グラフィックを作る為過労死する人が出てる可能性を心配するほど多くのブレイドが登場し、それら一体一体が高い完成度を持っていました。
その技術力を少数のキャラクターに集中した事で、こうして「自然」なキャラクターが生まれたのかもしれません。
グラフィックはゲームとしての遊びとは直接関係しない部分ですが、ゼノブレイド2の必見となる部分の一つだと言えます。
「ゼノシリーズと言えば……」
さて、冒頭にもう貼り付けてしまっていますが、私が心を掴まれたのは……
「設定の奥底に吹き荒れるSFの風!」
……このメカ描写だ!
ゼノブレイド2本編中でも活躍した僕(デバイス)が、黄金の国イーラでも暴れまわります。
「こちらは本編でも何度か登場している機体」
後半戦は本編で物足りなかった、超常の力を持つ機神達による戦いが繰り広げられます。
ムービーのみならず、プレイヤーが操作する戦闘にも要素として関わってくるので、その点でも心配はいりません。
私はこのシーンを見れただけでも遊んで良かったと思っているよ……!
「たった一枚の写真で、本編での彼の行動が全て正統性を持つ」
安易に本編と同じシステムでキャラだけを変えたものではなく、戦闘やインターフェース、グラフィック等ほぼ全ての部分を大幅に作り変え、そしてゼノブレイド2に対して確固たる意味を持つ。
ストーリーもゼノブレイド2の多層的な物語構造を維持し、主人公達の動向のみならず、宮廷や教会での権謀術数を織り込み、しかしうるさくならないテンポの良い描写で、変わらぬ高いクオリティで展開されます。
黄金の国イーラは近年まれに見る完成度のDLCだと言えます。
本編をプレイした方にはまさに必見の内容ですし、ロボット物が好きな層にもオススメできます。
加えてむしろ「ゼノブレイド2が若干遊びにくかったかな?」という人にこそプレイしてほしいDLCです。
短期間でのその進化に驚いてみて下さい。
以上「ゼノブレイド2 DLC 黄金の国イーラ レビュー お手本のような良質骨太ダウンロードコンテンツ」でした。
あ、セイレーンのプラモデルが出ます!(本当に言いたかった事)