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ローカラーズされた大陸産インディーズゲーム、ICEYをレビューします。
ICEYは、何が足りていないのかを考えた……
「タイトル画面が地味過ぎでは……?」
ICEY(アイシー)はオーソドックスな2Dアクションゲームです。
本当にオーソドックスな操作性です。
「アクションはシンプル、極めてシンプル」
弱・強攻撃と、高速移動であるダッシュ、ある程度ダメージを与えるとフィニッシュムーブが発動可能になります。
「Aボタンでフィニッシュムーブだ! 簡素だな!」
フィニッシュムーブはライフ回復も兼ねています。
「進行中にこうしたポッドがあり……」
「アップグレードができます。標高とかはたぶん意味のない情報です」
「沢山強化できるものはあるが、まぁ通常攻撃だけ強化しておけば十分」
「時折ボスが現れて、無言のまま戦いを挑んでくる」
ほとんど一本道のゲームで、「矢印」に従いさえすればクリアは簡単です。
それで終わってしまうと単なる旧時代の汎ゲーですが、ICEYには特徴として「メタフィクション」が付加されています……
「物語はナビゲーターの独壇場」
プレイヤーはICEYを操作しますが、常にナビゲーターが実況してくれます。
なぜかゲーム開始時から名乗ることもなく、語り部としてゲームをエスコートしてくれます。
「が、全体的に様子がおかしい」
ん? ちょっと待て、ナビゲーターの声……
この人ゼノブレイド2の主役の声だろ、何十時間も聞いていたから知ってるぞ!
ああ、済みません、脱線しました。
ゲームを進めますね。
「!?」
「未完成のマップだと!」
「矢印」したがって。
ゲーム中何度も聞くことになるこの言葉。
これに従わずに変な方向に進むと、変な場所だの結末に辿り着く……
「ナビゲーターの言い訳だったり、神と会うこともある」
まぁ、ここで全ての結末をどうのこうのと言うつもりはありません。
大切なのは、このゲームが「どうであったのか」です。
ICEYはアクションゲームの体で、その実アドベンチャーゲームに近い性質のものです。
「急にICEYの過去バージョンの話が飛び出す」
ナビゲーターはICEYを導くのみならず、コレがゲームであるとして指示に従わない捻くれたプレイヤーへ文句を言ってきたりもします。
この時点で問題なのは、そもそも「指示に従うプレイヤー」の方が少ないという点。
ゲームで矢印の方向へ進めと言われて、途中に建物があるなら、入らない方がどうかしている……
「そっちの方がいいじゃないか」
一つの結末を迎えれば実績が解除される。
それ以前に、全て開放することが何やら真のエンディングへのキーになっているような実績一覧が最初から明示されています。
「いやそうでもないだろ……」
ゲームにメタの性質を持つ物語・システムを付随させるのは珍しい訳ではありません。
ゲームをプレイしてるプレイヤーを暗喩したテキストなどで、意外性や記憶に残る展開を用意するといったものですね。
それを狙ったならば、ICEYは一歩足りていないと言わざるを得ません。
「それも悪くな……というか、完成した今の状態が味も素っ気もないのである」
アクションとして牽引するのならば、シンプル過ぎてすぐ飽きてしまう。
ストーリーで引っ張るならば細かく状況を伝えるべきだったが、フロムソフトウェアかってくらい説明不足。
ウリのメタフィクションは、最初からICEYではなくプレイヤーに対して話しかけてくる……
「たぶんだけど10年もこのゲーム作ってないだろ」
全ての方向に向けて、小さくまとまってしまっています。
アクションゲームとしては簡素過ぎ、アドベンチャーとしては感情移入できない。
ゲームとは「リスクとリターンのバランス」という言葉もありますが、それが守られていない本作はアクション部分が「作業」になってしまっています。
「だがたまに確信を突いてくる。確かにこのゲームは画面がキレイだからDLした」
さんざんこき下ろしておいてなんですが、しかしインディーズゲームはそういったものである事も事実。
実験的な作品がそのまま表に出るからこそ、今日のインディーズゲーム業界があるとも言えます。
そもそも、1000円かそこらのICEYに完全性を求める方が問題です。
「そこまでじゃないよ……」
ICEYは全ての実績を解除しても4時間ほどで終わります。
Switchを買ったは良いが、ブレスオブザワイルド以外まともにゲームを遊んでない、等の状態の人にはリハビリとしてオススメできるゲームでもあります。
何せシンプルな作りですからね。
「背景設定のポエムはとかく分かりにくいが……まぁ無理に理解する必要もなし」
多くの結末を、あるいはコントを眺め、ICEYとあなたはどのような結果に辿り着くのか?
それとも途中で投げ出してしまうのか?
「ICEYは……」
現状Switchで大陸産のゲームは珍しく、キャラクターデザインそのものも日本風になっている。
そういう意味でICEYは外国産お手軽アクションゲームの試金石と考える事も出来ます。
簡単なアクションゲームを探している方、メタ要素のあるテキストをゲームで見てみたい方、ゲーム中に直感と理解ばかりしていたICEYが最後にどうなるのか知りたい方、等などにオススメのゲームです。
あなたはICEYと共に数時間を過ごした記憶を思い返す……
以上「ICEY レビュー 足りないメタフィクションアクションゲーム」でした。
ゼノブレ2ならナビゲーターの声をイヤって程聞けます(ゲームとしては超オススメ)